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混沌の神様

「あるとき、

 混沌(こんとん)という神様が、

 南海の神様と北海の神様を呼んで、ご馳走を振る舞いました。

 南北の神様は大変に満足され、宴が終わると相談して、

 お礼として、混沌の神様に目鼻を贈ることにしました。

 というのも、

 混沌の神様には、目も鼻も口も耳も何もなかったからです。

 混沌の神様が寝ている間に、二人の神様は

 鼻の穴を二つ、口を一つ、目を二つ、耳の穴を二つ開けました。

 これでよいと、二人の神様は大喜びしたのですが、

 その時、もう混沌の神様は死んでいました。」

           (『荘子』より)


今『ネガティブ ケイパビリティ』という本を読んでいる。

その中に出てきた「荘子」からの引用です。

ネガティブ ケイパビリティの意味は、

その副題にあるように、

「答えのない事態に耐える力」だ。

ネガティブは、普通は悲観的なという意味で使われるが、

ここでは、答えの出ない、曖昧な、不可思議な、という意味合いで使われている。

ケイパビリティは、「能力」。


この本の著者、帚木蓬生(ははきぎほうせい)さんは、

小説家であり、精神科医でもある。

『生きる力 ~森田正馬の15の提言~』を書かれた

森田療法にも精通しておられる精神科医だ。


この「ネガティブ ケイパビリティ」は

なんて大切な心なんだろうと思って、読みながら衝撃を受けている。


帚木先生は、この態度は精神科医として

患者と対面するとき必須の態度だという。


答えを出さない。

分からない事は分からないままにしておく。

不可思議さ、神秘、疑念をそのまま持ち続け、

性急な事実や理由、回答、結論を求めない。


私なんかすぐに答えを求める。

不可解な事態、曖昧な状況の気持ち悪さに耐えられないからだ。

分からないことが不安につながるからだ。

早く解決してスッキリしたい、のだ。

ただ、「分かりたがる脳」は人間の自然だとも箒木さんは言う。

人は分からないことを次々と解明し、

出来ないことを一つづつできるようにして進化、発展してきた。


どちらかといえば

そっちの方が現代人の脳には簡単なのかもしれない。

だけど、

生きていく中では、答えの出ることばかりじゃない。

答えの出ない、

すぐに解決できないことのほうが断然に多い。

1+1=2には、ほぼならない。

人生は公式じゃない。

答えを出す能力よりも、答えの出ない事態に耐え続ける力のほうが

生きていく上でよっぽど大事な力なのかもしれない。


だのに私は、人生にも公式を求め、答えを求め、

正解を求め続けていた。


混沌に耐える。

混沌は、安易に解決しようと無理やり目鼻をつければ

死んでしまう。


混沌を保ち続けることは、

人の心に幅を持たせてくれると思う。

きっとガンジス川のような。


ネガティブ ケイパビリティは、

人生の奥深さ、寛容さ、滑稽さ、自分の無力さを教えてくれるのだと思った。






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Re: No title

chakiさん
こんにちは!

そうですよね。自分の言葉で話したり書いたりしたことってとても大事ですよね。
話すためには、自分の心や感じををよく見なきゃならない。
そしてこのネガティブケイパビリティを読んで強く思ったのは、
その話したことを聞く姿勢のこと。
「自分の知識も記憶も経験も全て捨てて、ただその言葉を聞け」と。
とても難しいのだけど、私たちが目指している「受容」「共感」ととても近いし、
共感のためにとても大事な概念だと思いました。
誰かに、自分の辛さをそのまんま受け止めてもらう時、
問題の解決より大事な何かが動くんじゃないかな。


No title

私も一緒です。すぐに楽になりたいし、スッキリしたくなります。教えてもらったことだけではなくて、誰かに話しながら自分で整理が出来たものや気が付いたことがなんとなく支える脚になっているような気もしています。でもそこに至るまで先輩たちの話を聞くことが大きな力となりました。いつも沢山の本を読んでいますね。すごいわー私も見習います。

Re: ネガティブ

よっこさん
こんにちは~!

私もネガティブな自分が嫌いでした。
でも、ポジティブ思考に切り替えたり、無理やり割り切ったり、
前向きにガンバロー!とネガティブ押さえ込んでやるのは、あんまし良くない。
なぜなら、問題を道半ばで向き合うのをやめてしまうから。

それよりも、答えを見つけられないまま、ただ仕方なく下向いて
トボトボ歩き続けるほうが、ずっと遠くまで行けるんじゃないかな。
よっこさんがいつも言う、「仕方ナシの日々の生活」ですよ。

冬空はきれいですよね~。今日も夕日がきれいでした~。

ネガティブ

自分はネガティブで、嫌な性格だと自分を嫌っていました。
ネガティブであってもいいのですね!
太陽があって、月もあって・・冬空の星は美しい。

プロフィール

六花

Author:六花
ブログへようこそ。
六花と申します。
10代の頃から神経質症に陥り
30代でうつになりました。
今は森田療法のおかげで、元気に暮らしております。
そんな体験からこのブログを始めました。
日本由来の森田療法を多くの方に知ってもらいたいと願っています。

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