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Mさんのこと

Mさんは、

発見会の大事な仲間の一人だ。


13年前に、一緒に森田の学習会を受けた。

私は、対人恐怖が苦しくて、

Mさんは、アルコール依存で苦しかった。


Mさんは、私と年がだいぶ違う。

親子ほど違う。


Mさんは、世話焼きオバチャンだ。

集談会で独身男性がいると、すぐに彼女を世話しようとする。

独身女性がいると、すぐに自分の息子を紹介しようとする。


Mさんは、手先がとっても器用。

集談会に来る時は、いつも手作りのイチゴ大福を持ってきた。

イチゴの季節が終わると、りんごやナシをむいて持ってきた。

陶芸を習っていた時は、小さなお地蔵さんを作ってみんなに下さった。

今は、手芸に凝っているようで、大小さまざまなポーチを作ってはくださる。

ポーチには必ず、刺繍やアップリケが施されていて、

リンゴやカボチャがニコリと静かに笑っている。


そんなMさんが、ある日集談会でぽろっとこぼした。

「アルコール依存はね、発見会の中では少ないの。」

「神経症とは違うからか、あんまりその辛さに共感してくれる人がいないのね。」

「アルコール依存は、一度そうなると世間からはずっとそういう目で見られるの。

治ってからも、ずっとそういう偏見の目が消えないのね。」


私は13年知り合ってはいたが、

そういうMさんの言葉を聞いたのは初めてだった。


Mさんは、13年前の学習会で、一番回復した人だった。

3ヶ月の間に、メキメキ良くなっていった。

でも、良くなってだいぶ経った今も

失った信頼、失った友人を取り戻せず苦しんでいた。


そうだったんだね、Mさん。

全然知らなかった....。

アルコール依存だから、ちょっと違う。とか、

今はアルコールは飲んでいないから、もう大丈夫

くらいに思っていたところが、私にはあった。

でも、Mさんの苦しみは少し違うところにあった。

他人の事は、本当に話してみないと分からない。

内側の事は、外から見ているだけでは本当に分からない。


それまでより

少しMさんのことが分かったような気がした。


例え同じ対人恐怖だって、

    人によってみんな違う。

症状が一緒だから、

    なんか分かったような気になる。

症状が違うから、

    全然分からないような気がする。

でも本当は、

症状なんて、表出しているほんの一部分で、

    苦しみも悩みも、一人一人みんな違うはずだ。

やっぱり本当に大切なのは、

辛い気持ち、苦しい気持ちを、例え理解はされなくても、

そのまま受け止めてもらえることなのかな、と思った。


発見会では、同じ経験をした人は少ない。

でも、Mさんの苦しさを受け止める事はできる。

だからアルコールだろうが、対人だろうが、パニックだろうが

関係ない。

みんな生きていくことが苦しいのには変わりがないんだから。


Mさんのくれるものからは、

Mさんのぬくもりが伝わってくる。


それは、Mさんが失ったものたちへの、愛おしいような

取り戻せないものたちへの、虚しいような

そんな気持ちだったのかもしれない。


これらは、Mさんの「祈り」だったのかもしれない。


昔いただいたお地蔵さんが、今も私の部屋にちょこんといる。

少し上を向き、目を瞑って合掌している。

その口元はかすかに微笑んでいる。

これは、Mさん自身だったのかもしれない。


いつかMさんの祈りが天に通じますように。




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プロフィール

六花

Author:六花
ブログへようこそ。
六花と申します。
10代の頃から神経質症に陥り
30代でうつになりました。
今は森田療法のおかげで、元気に暮らしております。
そんな体験からこのブログを始めました。
日本由来の森田療法を多くの方に知ってもらいたいと願っています。

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