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息子と森田療法

息子は、高3になった途端、学校に行かなくなり、

時々友達と遊びに行ったりはしていたが、

毎日家でゴロゴロしている日々を送っていた。


特にすることがなく、

落ち着いてくると、息子は時間を持て余し、ヒマそうだったので、

長年、森田をやってきた私は、

時々家事をお願いしていた。


洗濯物を干す、

茶碗を洗う、

犬の散歩、など

簡単にできることばかりだ。


でも、息子は、めんどくさそ~~に、頼まれたことを

頼まれた事だけ、最短時間で終わらせていた。

時々、「忘れた」と言ってやらないこともあった。

完全にやっつけ仕事だ。

森田先生の言う「お使い根性」でやっていた。


それでもまあ、慣れない家事だし、

一応言われたことは8割方やっているし、

実際私も助かっているし、

と大目大目で見ていた。

慣れてくれば少しは違ってくるのかな、と思っていたが、

いつまで経っても息子の態度は変わらない。

言われると、めんどくさそ~に言われたことだけやっていた。


私は考えた。

やっぱり作業の意味を伝えたほうがいいのかしらん?

そしてある日、私はこんな風に息子に言った。


六花:「ね~ね~、私があんたに家事をお願いしてるのは何でだと思う?」

息子:すごく面倒臭そうに、聞きたくね~、と言った表情で、

  「はぁ~?おかーさんが面倒だからじゃないの?

    俺別に何もしてないし。」

六:「あ~そういう風に思ってたの~。

   じゃあちょっと違うんだけどさー。

   あのさー、あんたはさー、今エンジンが止まってしまった車なんだよね。

   今まではさ、何とかかんとか頑張って学校行ってて

   あんたの車はゆっくりでも動いてたんだよね。

   でも学校やめたことでさ、あんたの車は止まってしまったんだよね。

   でさー、 

   完全に止まった車をまた動かすのって、ものすごいパワーが要るんだよね。 

   でも今あんたは、頑張らなきゃって思っても、何か目標があるわけでもないし、

   やりたい事があるわけでもないし、走っていく気力も出ない状態でしょう。


息: かすかにうなづく。


六: だからおかーさん、家事をさせてるんだよ。

   家事はさー、生きることそのものなんだよ。

   汚れた服を洗って、干して、畳んで、しまう。

   ご飯を食べるんだって、あんたは「ご飯だよ」って呼ばれて、食べて、「ご馳走様」だけど、

   本当にご飯を食べるって事は、

   まず材料を買ってきて、皮向いたり、切ったりして、調理して、お皿に盛ってって

   いう作業が全部イチイチあるってことなんだよ。

   生きていくってメンドクサイ事ばっかりなんだよ!(つい力が入ります..)


   今あなたはさ、やらなきゃならない事も、行かなきゃいけない所もない。

   だからおかーさんは、今あんたに生きるための仕事をやってもらいたいんだよ。

   それが今のあんたに必要だから、お願いしてるんだよ。

   そうやって、手を動かし体を動かしてやってみると、

   実際何一つ簡単じゃないし、時間も掛かるし、疲れるし、最初は上手く出来ない

   ことばかりで面倒臭いと思う。

   でもそうやって、手や足を動かし体を動かして実際にやってみることが

   あなたの止まったエンジンを温める事になるんだよ。」


   「これは森田の考え方なんだよ」と言うと、

   「森田か~」と、ちょっと嫌な顔をしたので、

    以降「森田」は言わないようにした。


六: 会社で大きな仕事したりさ、世界に出て活躍したり、そういう仕事もそりゃ立派だと思うよ。

   家事は、ただ生きる為の地味で目立たない仕事かもしれないけど、

   生きていくのに必要な大事な仕事なんだよ。

   今のあんたに必要だから。それがあんたのエンジンを温めてくれるから。

   嫌々でいいから、手足動かして、やりなさい。ね?」

   

   そう一気に喋った。


   息子は半分以上背中を向けていたが、

            「わかった」 とぼそっと言った。


どこまで伝わったのかは分からなかった。

でも、それ以降の息子の仕事ぶりで、「あ~、ちゃんと伝わったな。」と感じた。

それまでのいい加減な、いかにもやっつけの仕事じゃなくなった。

それは現場を見ればよく分かった。

家事に「心」が入った、という感じだ。

「きちんと」やるようになった。

ただ言われてやるんではなくて、「自分のため」と思えたのかもしれない。



それから半月ほどして、

息子が、

  「バイト決まったから。」と言ってきた。


嘘みたいだけど、ホントの話しだ。


私は面接に行っている事も知らなかった。

生まれて初めて、

息子がたった一人で決断して、行動して、

つかみとった現実かもしれない。

それまではいつもレールが敷いてあった。

高校受験でさえ、自分で決めたとはいえ、

何となくうすくレールが敷かれていた。

それを、いくつかの選択肢の中から選ばされただけだ。


バイト、がんばれよ。

もしかして、すぐやめてしまうかもしれない。

それでもいいと思う。

とにかく一歩、踏み出した。

そのことが、息子の大事な「事実」だ。


何度失敗したって

何度でもやり直せばいい。


それでいいから、

なんでもいいから、

がんばれ、がんばれ。








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Re: No title

chakiさん
ありがとう~。

昨日はお疲れさまでした♪
楽しかったですね!

No title

私も娘が、「今日からは一人で行く」と言った時の事思い出しました。

Re: 家事

38たろうさん
コメントありがとうございます。

あら~、家事されないんですか?それは奥様が立派ですね~。
私は旦那が定年になったらガンガン家事を仕込もう!と思っていますよ~。(笑)
決して私がさぼりたいのではなく、旦那のためです!旦那の!

息子は今日もバイトに行きました。

Re: No title

chakiさん
いつも読んでくれて、ありがとうございます。

森田療法はすごいです。
息子で実験?ではないけれど、これは私も少しビックリでした。
森田はホンモノです。



管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

家事

息子さんとのやりとりが面白いです。家事は人間が生きるために大事なことですけどね。私もあまり家事をしませんが・・・息子さんがバイトに行ってくれるといいですね。

No title

六花ちゃん、読みながら涙あふれてきました。どうして、雑事をしなさいと先輩が言っていたのか、あらためて、気づかされました。そして、なにより息子ちゃんのエンジンが動き出して、よかったね。がんばれーがんばれ。
プロフィール

六花

Author:六花
ブログへようこそ。
六花と申します。
10代の頃から神経質症に陥り
30代でうつになりました。
今は森田療法のおかげで、元気に暮らしております。
そんな体験からこのブログを始めました。
日本由来の森田療法を多くの方に知ってもらいたいと願っています。

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