プール熱
昨日の夕方、
息子を病院に連れて行った。
小さい頃から診てもらっている、近所の町医者。
ここ数日、熱が上がったり下がったりしていた。
喉が痛くて物が食べれず、咳も出てきて、目が赤かった。
感染源は分かっていた。
娘だ。
娘は、先週発熱し喉が痛くて声が出なかった。
咳もひどくて、学校を一日休んだ。
プール熱(咽頭結膜熱)だった。
それが息子にうつったのだろう。
息子は、右の耳下腺も腫れてきて、触るとめちゃめちゃ痛いと言う。
下がったはずの熱もまた上がってきていた。
こじれてもいけないので、久しぶりに病院に連れて行った。
小さい頃は、すぐに幼稚園などで病気をひろうので
よく病院にお世話になったが、
最近はめっきり行かなくなった。
それだけ丈夫になったのだろう。
娘などはもう一人で病院に行ってくれる。
娘は基本的に病院が好きだ。
私が病院の待時間が苦手なのを知っているので、
先週も、娘は学校帰りに一人で受診し薬をもらってきた。
本当に助かる。
でも、息子はそんなわけに行かないので、一緒に行った。
受付のおばちゃんや、看護師さんたちは
小さい時から知っているので、
今でも、息子を下の名前に「ちゃん」付けで呼ぶ。
「Sちゃん、久しぶりだね~。」
「大きくなったね~!」と、愛想もない息子に
嬉しそうに声を掛けてくれる。
診察室に入ると
「お~、Sちゃん、久しぶり~。」と先生は言った。
先週来た娘と症状が同じなので
「お姉ちゃんのがうつったね~。」と言った。
そして息子に
「Sちゃん、いつから発熱した?」
「学校にいる時だった?家にいる時?」
「今週は学校休んだ?」
と聞いた。
息子は、ちょっと困った顔をして、「家ですけど~...」と言いながら
どう言ったらいいのか分からない様子で私をチラッと見たので、
私は後ろから
「せんせ~。この人ね~学校やめちゃったんですよ~!」
とチクってやった。
そしたら先生は「あ~れま!そ~なの~?」と言った。
「ん~~?じゃ~家にずっといる~?」
「そんなことありませんよ。結構遊びに行きますよ~~。」
「あ~~そ~~じゃあ、外かも知れないけど、まあ今回は
まずお姉ちゃんからうつったね~~」と言った。
「学校をやめた」と聞いても、先生は顔色一つ変えなかった。
何か気の利いたことを言うでもないし、
いつもど~~~り、
「んじゃ、Sちゃん!薬出しとくからね!
耳下腺がまだ腫れるようだったら、また来るんだよ!」と言った。
息子は、頭を下げて診察室を出た。
先生にとっては、息子が学校をやめるとか、やめないとか
そんな些細なゴタゴタはどっちでもいいのかもしれない。
大勢の患者の身辺にまで、いちいち関わっていられないというのも
本当だろう。
でも私は、なんとなく先生の性格から、
「とにかく元気でいればそれでいい」と思ってんのかもしれないと思った。
それが医者だから、でもなく、
それが、小さい頃から知っている大人の感情なのかもしれない、と。
先生は、
私が「うつ」だったことも知ってる。
息子が小さい時から引っ込み思案で、大人しかったこともよ~く知ってる。
多分そんなことからも、私はそう感じるんだと思う。
勝手な都合の良い解釈だけど、
そう思ってる方が、なんか幸せだ。
先生の性格からして、
ウチのばあちゃんや、娘が一人で来た時なんかに、
「Sちゃん、ガッコウやめたんだって~?」
なんて探りを入れそうだ。
そんな先生だ。
いろんな大人に見守られてるというのは、
幸せなことだ。
きっと私も、そうだったのだろうと思う。
いろんな人たちに、それとなく気にかけられ、見守られてきたのだろう。
あまりにさりげなくて、私が気付けなかっただけで。
長いから、続く....。